温泉こわい
日本はずいぶん寒くなってきたという。InstagramとかFacebookに上がってくる友人の写真には、さすがに半袖半パンの男は写っていない。ミニスカの女の人は写っていた。寒くないんだろうか。寒いけど、頑張ってるんだろうか。
小学生の頃、男の子の間で流行った、いつまでも半袖半パンでも大丈夫マン決定戦は、どうして全国でも開催されていたんだろう。あんなの絶対寒いのに、顔にしもやけ作って無邪気に鼻水垂らして「大丈夫だし」とか、今考えると本当バカ。なにそのダシ。
寒いときは、ストーブに限る。コタツはダメだ。あれは、人間をダメにする依存メーカーだ。あれのせいで、大学生の頃の僕の部屋は、たくさんの後輩たちに占領された。そしてその後、もっといいコタツがインストールされた後輩の部屋に、みんなで占領することになった。結果、後輩たちは大学やバイトに行かなくなった。出前とパシリが増えた。僕も1週間、家のすぐ近くのコンビニとすき家以外に出かけなくなった。さすがにヤバかった。
「あ、ちゅーやさん、どこか行くんですか」
大学の頃は、ちゅーやと呼ばれていた。ある詩人の名前から取られたものだけど、あまり知っている人は多くない。
「ん、ちょっとコンビニ行ってくる」
「ちゅーやさん、のどが渇いたなぁ」
「あ、ちゅーやさん、僕も」
「ふざけんなよ、何が飲みたいかちゃんとわかるように言えよ!」
お風呂に入る前に、一度裸にならないといけない時間がすごく嫌いだ。寒いときは、本当に嫌になる。お湯と水を両方出して温度調節しなきゃいけないタイプの風呂だったときの、あの最初に水しか出ない時間がすごく嫌いだ。いつまでもお湯は出ないんじゃないかと不安になる。
やっぱり日本人は温泉が好きだ。温泉とまでは言わないが、お風呂は好きだ。
ミャンマーに来てしまっては、温泉なんて縁のないものだと思いがちだろう。今回は、そんなあなたへ、ミャンマー地方の温泉巡りを紹介したい。
シャン州のラショーという町に、温泉があるというのは有名な話だ。
着いた時には夜になっていたので、写真に写ってる情報が極めて少ないが、なんとか雰囲気で察して欲しい。女の子の気持ち察する力があるんだから、これくらいの雰囲気も察して欲しい。
せっかく来たんだから、入っていこうと思う。
夜なので少し見にくいが、こんな感じになっている。
女性もすぐ横で入浴している。裸になるの恥ずかしいのはわかるけど、キミらそのパンツ今日ずっと履いてたやつだよね。せめて着替えなさいよ。水着的なものを着なさいよ、公共浴場なんだから。
売ってるんだから。
こんな、芋洗い場みたいなところでゆったりするの嫌だなぁ、という人のために、
個室もあるらしい。入り口に座ってニヤニヤしてるおっさんに1000 Kyat払って、怪しげな道を辿っていく。
こ、これは!!
おおお!!
温泉である。ちゃんと湧き出てくる湯水たち。これは最高だ。温度は40度ないくらいか。ちょっと温いと感じるけれども、これは気持ちがいいかも知れない。思わず顔をつけたりする。
ちなみに、僕はカラスの行水と揶揄されるくらい、ゆっくり温泉に浸かったりするのは好きではない。身体を洗ってしまえば終わりだ。なんで綺麗に磨いた皿を、まだ水に浸けておくんだ。しかもその水、芋洗った後に浸けておいた水だろ。さっさと洗って、ちょっとだけ浸かって、雰囲気を楽しんだら、また洗って終了するだけでいい。
というかカラスは水浴びが大好きだ。なんだったら煙だって浴びるし、雪だって浴びる。蟻を浴びたりして体の寄生虫を取るくらい、かなりの綺麗好きだ。(蟻浴という。)
ここまで考えて、冷静に気がついた。あれ、でもちょっと待って、この湯水どこから繋がってるんだっけ。僕は5分もしないうちに身体を拭いて飛び出した。
さっきの芋洗い場じゃねーか!!!
お次は、ネピドーから2時間ほど、シャン州の山の方へ行った田舎にあるTaung Kyaというところにやってきた。
ここは雰囲気がすごくいい。山奥にひっそりと佇む湯気と、鳥たちの静かなさえずりが、リラックス効果を高めてくれそうだ。
これなら、きっとゆっくりできるはずだ。まぁ、ゆっくりすることはないんだけどな。付き合いで肩まで浸かったふりをするけど、本当は腰まで浸かればもう終わっていい。なんで心臓の上まで水に浸からないといけないんだ。
どうして日本人はみんな温泉が好きなんだろうか。ねぇ、教えてSiri。
むむ、なんだあれは!!
尻じゃねぇか!
最後は、カレン州の温泉だ。
モン州のタトンというところから、カレン州のパアンへの道すがら半分のところにある、「Bayin Nyi Cave」という洞窟があるお寺がある。ここは、火山帯であることから天然の温泉が存在し、近所から人が集まってきては体の汚れを落としていく。深さも広さもちょうどよいし、湯加減はややぬるいが、文句はないほどだ。
このお寺には猿が沢山いることでも有名だ。
ほら、こんなところにも。
猿がいるし、こんなところにも。
ああ、違った。おじいさんだった。