ずうっとずぶとくずうずうしく

いろいろあってミャンマー暮らし

要件人間

4日、朝9時、東京駅で

「オッケー、わかった!ところで、昨日のサンドウィッチマン見たかよ、めっちゃ面白かったよな!」

見てない、じゃあ、また明日

「おやすみ^^」

 

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冗長が嫌な人がいる。いわゆる無駄なく効率的にいきたい、という人だ。あまりに病的に無駄なく生きてる奴もいる。僕はウェイストフォビア(Wastephobia)と呼んでいる。僕の知り合いにも、ウェイストフォビアのなり損ないみたいなのがいる。

 

人生は一回しかないんだ。無駄なことは絶対にやらない

「お前のその努力はすげーよ」

「生きていく中での無駄は全部取り除いて、充実した人生を送りたいんだ!」

 

人生の無駄を取り除いたら何が残るんだろうか。黒川の人生は、受験に失敗して一浪し、せっかく受かった大学を中退して、もう一度別の大学を受けて卒業する、という、なんとも遠回りなものだ。これを無駄と取るか取らぬかは人それぞれだが。

 

「とにかく、卒業おめでとう」

うん。頑張った甲斐があった

「ところで、仕事はどうするんだ」

今、自分で仕事を立ち上げてるんだ。IT使ってな。やっぱりこの先、ITが使えないとダメだと思う

 

法学部を卒業して、なぜITで食っていくと言っているのか。お前の4年間はなんだったのか。弁護士になるんじゃなかったのか。

 

場所や所属は問わず、何を学ぶか、が大事だろ。俺は、法学部だけど、今後のIT社会に準備できていないことに気づいて、憂いているんだ!

 

それなら前の大学辞めないべきだったろ。環境を受け入れて精進しろよ。

 

 

しかし、黒川の言うことにゃ、一部は賛成だ。無駄を削ぎ落とすことは、ビジネスをする上では欠かせない。複雑な事象を、徹底的に分析してシンプルにすることで、わかりやすく理解させることが重要だ。

 

世にある自己啓発本には、そういうことがほとんど書いてあるだろう。知った気になって実践していない人が後を絶たないが、まぁそういうことだ。

 

ただ、日常生活までそのマインドを侵食させてしまうと、だいぶこっちが参っちゃう。やはり何事もほどほどにして欲しいところだ。

 

 

僕なんかは無駄だらけなので、黒川から見ればイライラするらしい。喋るのが好きなので、関係のない話とか、途中で冗談を挟んだりすると、舌打ちをして次の一言を言う。

 

その話、いつ終わる?

 

それから黒川とは連絡が途切れている。

 

 

 

ザガイン管区のカレーという街は、チン州北部への入り口にある。よって、居住者の半分以上はチン族で構成されている。また、インド国境への通路でもあることから、ハブとしての役割を担っている重要な拠点である。

 

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熱帯季節風の強い影響を及ぼすこの地域は、3月から5月には、38度から44度の暑さになる。ただ、この冬の時期には、10度から20度の、過ごしやすい環境になるため、訪れるとするなら、11月から1月をオススメする。

 

カレーまでは、飛行機で行くのをオススメする。ヤンゴンからだと2時間くらいで行けるからだ。バスだと、24時間の長旅となる。さすがの僕でも、2分は考えるほどの距離だ。

 

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「もしもし、キムさん、無事カレーに着いたよ、ありがとー!」

いいえ、ズーズーさん、わたしたちのために、いつもありがとうね

 

キムさんは、ヤンゴンに住む日本語の堪能なミャンマー人だ。民族はチン族の中のティディム・チン族だ。今は、ヤンゴンにある日本語学校の先生をしてもらっている。

 

「いや、こちらこそ!ルンダム!」

 

ルンダムは、ティディム・チン語で、ありがとう、という意味だ。ガンダムの偽物ではないし、そもそもイントネーションはそうじゃない。最後のムは、口を閉じるだけ。「瞬間」と同じイントネーションで。

 

ところで、ズーズーさん、私ね、悩み事があるんですよ

「どうしたの」

人それぞれだからね、仕方ないんですけど、やっぱりザラとは気が合わないんです

 

ザラとは、有無を言わさず6000万円を要求してきたおっさんだ。Rihという地域のために、経済開発をしていきたいと熱心なおっさんだ。

 

参照

 

強引火の如し - ずうっとずぶとくずうずうしく

 

「まぁ、ザラは熱心すぎるからね」

そうなんですよー、でも、ズーズーさんは一生懸命なので、申し訳ないですが、私ね、難しいですね

「わかるよ、まぁ大丈夫、僕が」

でも、何か必要なことがあったら言ってくださいね

「うん、僕も」

出来る限りのことはしますからね

「うん、ありが」

これからもチン民族のために、どうぞよろしく

「オッケー、わかっ」

プチっ

 

ツー、ツー、ツー

 

 

僕は久々に黒川にメールした。